一般計量士ってどんな資格なのでしょうか。
職場から受験して欲しいと言われているけど、どんな資格か分からない。
また、資格を取得する方法や試験の難易度に知りたい。
一般計量士はなぜ必要なの?
そんな疑問の解消と一般計量士の認知度を上げたくてこの記事を書きました。
一般計量士ってどんな資格?
一般計量士と聞いて何をする人か思いつく人は少ないのではないでしょうか?
計量という単語が入っているので、何かを計量する人くらいの認識だと思います。
私たちの生活において、計量がいい加減だとたくさんの人が迷惑をすることになります。
そのため、計量の基準を定め、適正な計量を実施を確保することを目的とした計量法という法律もあります。
計量法なんて出てきたけど、結局一般計量士はなにが出来るの?
- 計量法に基づく、経済産業省所管の国家資格
- 計量器の検査を行うためのスペシャリスト
- 計量管理を的確に行うためのスペシャリスト
- 製造工場等で計量証明の事業の登録を行うために必要
- 長さ、質量、面積、体積、熱量の計量を専門としている
一般計量士の仕事は?
工場や百貨店、スーパーマーケットで使用される長さ計や質量計、体積計、温度計等の計量器の精度管理や測定計画の策定、実施等の計量管理を行うこと。
計量器の精度管理とは、その計量器が本当に正しい数値なのかを管理することです。
これが管理されていないとどんな不都合が生じるのでしょうか?
自分へのご褒美に松阪牛を500g購入しようと思います。しかし、その松阪牛500gって本当に500gなのでしょうか?
本当は300gなのに精度管理されていないため500gと表示されていたら、私たちは300gの松阪牛を500gの値段で購入することになってしまいます。
スーパーで何気なく30kgのお米を買っていると思います。
これが30kgだというのは精度管理をされている計量器で計量しているからみんなが安心して買っているのです。
30kgのつもりで買っているのに20kgしか入っていなかったら困ります。
水道メーターやガスメーターも精度管理されてるメーターを使用してもらわないと、水道代やガス代が信頼できない請求になってしまいます。
そうならないために一般計量士という資格を持つ人が必要なのです。
彼らが責任をもって計量器を点検・管理しているからこそ、私たちは数字を信用できるのです。
一般計量士の資格を取得するためには
一般計量士という資格を取得するためには2通りの方法があります。
- 国家試験で合格
- 資格認定コース
国家試験で合格
一つ目は王道の国家試験で合格をすることです。
この一般計量士試験は国家資格でありながら、受験資格というものがありません。
つまり誰でも受験可能なのです。
国家試験は専門科目2科目+共通科目2科目の全部で4科目あります。(環境計量士の資格を取得している場合は共通科目が免除)
- 計量に関する基礎知識(一基)
- 計量器概論及び質量の計量(計質)
専門科目は午前中に行われる科目で、一基・計質と呼ばれています。
- 計量関係法規(法規)
- 計量管理概論(管理)
共通科目は午後に行われる科目で、法規・管理と呼ばれています。
そして、試験の合格条件が少し特徴的です。
- 午前:専門科目2科目の合計点が約6割以上
- 午後:共通科目2科目の合計点が6割以上
なぜ約6割なのかということですが、午前の専門科目は毎年合格点が変動します。
2科目合計が50問なのですが、合格点が低い年で25問、高い年で29問正解で合格です。
自己採点で30問、つまり6割以上正解していれば合格は間違いなしです。
資格認定コース
国家試験を受けずに資格を取得する方法です。
国立研究開発法人産業技術総合研究所計量研修センターが実施する教習の課程を修了し、かつ、登録する計量士の区分に応じて経済産業省令に定める条件に適合する者であって、計量行政審議会で認められると初めて資格を取得できます。
国家試験を受けなくてもいいのでこちらの方が良さそうに感じます。
しかし、試験を受けなくていいということではありません。
- 計量研修センターが実施する入所試験に合格
- 一般計量教習 計量研修センターにて教習機関3か月
- 一般計量特別教習 計量研修センターにて教習機関2か月
- 質量計に関する実務経験 職場2年
全部で4ステップを踏むことでようやく一般計量士の資格認定を受けられます。
研修期間が合計で5か月です。
社会人には少しハードルが高い気がします。
この資格認定コースを選択するなら会社の協力が必要不可欠です。
一般計量士国家試験の難易度
合格率の推移をみると、2015年までは15~20%,2016年~は20~25%くらいです。
試験の合格率は低めです。
試験合格のカギを握るのは午前の専門科目です。
一基の試験範囲は高校卒業程度の数学と物理です。
理系で数学も物理も得意だった方は計質に時間を割けます。
数学と物理に苦手意識を持っている方は苦戦を強いられます。
自分の数学と物理の理解度によっては高校の教科書を見ながら過去問を解いたりするのもいいと思います。
一般計量士は参考書や問題集がメジャーな資格試験に比べて少ない。必要ならば高校レベルの参考書等を使用するのも一案。
おすすめの参考書を一つ紹介します。
まとめ
一般計量士は知名度の高い資格とは言えません。
しかし、私たちの生活の中で計量というものは切っても切り離せないものです。
資格取得をしないまでも、計量についての知識を深めることもいいと思います。
一般計量士は工業系の資格の中でもマイナーな割に取得難易度は高めです。
資格取得は国家試験受験が王道ルートだと思います。
資格取得を目指す方は、早いうちから少しずつ勉強を始めておくことが重要だと思います。