理系の資格では有名な危険物取扱者試験。
この資格が気になったら次のような疑問が浮かぶと思います。
- 危険物取扱者とはどんな資格?
- 資格を取得するとどんなメリットがある?
- 合格のための勉強時間は?
- テキストと問題集は何がおすすめ?
私の経験を踏まえてこれらの疑問にお答えします。
先に私の紹介をしておきます。
- 地方国立大学の理系学部(化学)卒業
- プラントエンジニアリング(資格取得時)
- 30代の既婚
- 化学は苦手分野
- 受験資格を満たしていたため甲種から受験
危険物取扱者ってなにができるの?
危険物取扱者には「甲種・乙種・丙種」の三種類があります。
この資格を取得すると消防法における危険物を取り扱えるようになります。
「甲種・乙種・丙種」は、取り扱える危険物の種類と監督者になれるかどうかという違いがあります。
取り扱える危険物の種類 | 無資格者に立ち会える権限 | 危険物保安監督者 | |
甲種 | 1~6類全ての危険物 | あり | なれる(要実務経験) |
乙種 | 取得した資格の範囲のみ(1類~6類) | 取得した資格の範囲のみ | なれる(要実務経験) |
丙種 | 4類で取り扱える危険物の一部 | なし | なれない |
丙種は自分が取り扱う場合のみ有効な資格です。
甲種と乙種は有資格者が立ち会っていれば、無資格者も危険物を取り扱うことができます。
危険物にはどんなものがあるの?
危険物を取り扱えると言われても、そもそも危険物にはどんなものがあるのでしょうか。
危険物は1類~6類に分けて分類されています。
おおまかに紹介します。
1類 | 酸化性固体 |
2類 | 可燃性固体 |
3類 | 自然発火性物質及び禁水性物質 |
4類 | 特殊引火物、アルコール類、石油類 |
5類 | 自己反応性物質 |
6類 | 酸化性液体 |
実際は物質も指定されていますがここでは割愛します。
危険物取扱者の資格にはどんなメリットがあるの?
危険物取扱者乙種は1~6類に分かれています。
有名なのが乙種4類です。いわゆる乙4と呼ばれる資格です。
乙4は4類のガソリンなどの石油類やアルコール類を取り扱える資格です。
この資格を持っているとガソリンスタンドで働けます。
このように各類により取り扱える危険物の種類が異なります。
1~6類のすべてを取り扱える資格が甲種になります。
ちなみに乙種の1~6類をコンプリートすると取り扱える危険物の種類が同じになるので甲種とほぼ同等になります。
違いがあるとすると保安監督者になる時です。
危険物の保安監督者になるためには実務経験が6か月必要です。
甲種であればどれか一つの類の実務経験があれば、すべての危険物の保安監督者になれます。
しかし、乙種は自分が持っている類毎に実務経験が6か月必要になります。
実務的な違いはそれくらいです。
あとは、甲種を持っていると技術士1次試験の一部科目免除等の特典があったりします。
それ以外で甲種と乙種の違いがあるとすれば、ステータスじゃないでしょうか。
危険物取扱者試験の中では一番難易度の高い資格であり、知名度のある国家資格なので社内評価には良い影響が出るかもしれません。
番外編:セルフのガソリンスタンド
資格を取得したメリットとは少し違いますが、危険物取扱者の勉強をしていて面白かったことを一つ紹介します。
車に乗っている人は誰しも一回はガソリンを入れたことがあると思います。
特に最近はセルフのガソリンスタンドも増えてきました。
普段何気なしにガソリンを入れていますが、軽油、レギュラー、ハイオクでノズルの色が違うことに疑問を持ったことがある方は多いのではないでしょうか。
これは油種の間違いを防ぐために法令で決められた色だったのです。
だからどこのガソリンスタンドに行っても軽油は緑、レギュラーは赤、ハイオクは黄色なのです。
身近で役立つような知識が身についたりするのも資格試験を勉強するメリットだと思います。
危険物取扱者試験甲種の試験科目と合格点
危険物取扱者試験甲種は全部で三科目あります。
そして、各科目の正答率が60%以上を満たしていないと合格できません。
- 危険物に関する法令・・・全15問中9問以上正解
- 物理及び化学・・・全10問中6問以上正解
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消化の方法・・・全25問中12問以上正解
合格のための勉強時間は?
私が危険物甲種の資格取得までに費やした勉強時間を紹介します。
7月の受験を予定していたので、4月から勉強をスタートしました。
結果的には試験日が1か月延期になったので、2月~8月の約6か月が勉強期間になりました。
最初に4か月は平均で毎日1時間、後半の2か月は平均して毎日2時間勉強していました。
前半:120日×1時間=120時間
後半:60日×2時間=120時間
合計:120時間+120時間=240時間
各科目の勉強時間の配分も紹介します。
- 法令・・・50時間
- 物理・化学・・・20時間
- 危険物の性質・・・50時間
- 過去問及び問題集をひたすら解く・・・120時間
だいたいこのような配分で勉強していました。
乙種を一つも受けていなかったので、法令がかなり厳しかったです。
法令は覚えればそのまま得点に結びつくのですが、覚える量が多すぎるのでかなり時間を費やしました。
物理・化学は幸い学生時代の知識がかろうじて残っていたので、意外と勉強が捗りました。
危険物の性質は法令よりもさらに細かいところを覚えなければいけなかったので、こちらもだいぶ時間を費やしました。一部法令とリンクしているところもあったので、法令よりは少し勉強時間が短めです。
試験直前はひたすら過去問と問題集をひたすら解いていました。問題集は2冊を3周ずつしました。
理系大学出身ですが、そんなに化学が得意ではありません。
一発目で甲種受験した人と、乙種から受験して甲種を受験する人の勉強時間は同じくらいで考えていいと思います。
乙種を受験した人は法令が被っているのでその分物理・化学に勉強時間を費やせばいいと思います。
おすすめのテキストを紹介
試験勉強をしていた時に私が使用していた参考書と問題集を紹介します。
私は参考書を1冊と問題集を2冊の合計3冊で勉強していました。
- 参考書:わかりやすい!甲種危険物取扱者試験 大改訂第2版 弘文社
- 問題集:本試験によく出る!甲種危険物テキストがいらないくらい解説が充実した画期的な問題集 改訂第3版 弘文社
- 問題集:2018年~2013年中に出題された649問収録 甲種危険物取扱者試験 2019年版 公論出版
1冊ずつ詳しく紹介していきます。
わかりやすい!甲種危険物取扱者試験 大改訂第2版 弘文社
最初にこの参考書を読んで必要事項を覚えていきます。覚えなければいけないことがすごく多いので、私は3回読みました。
この参考書の良いところは、各類の危険物や覚えなければいけないものに関してゴロ合わせで覚えられるところです。
一つだけ例を紹介します。紹介するのは警報設備の種類の覚え方です。
警報設備は全部で5種類あります。
- 自動火災報知設備
- 拡声装置
- 非常ベル装置
- 消防機関に報知できる電話
- 警鐘
字(自)書く(拡)秘(非)書(消)K(警)
このような語呂合わせがたくさんあります。
覚える量が多いので、このような語呂合わせで少しでも楽して覚えていかないと大変かもしれません。
私はこの語呂合わせはかなり活用させてもらいました。
特に法令は暗記科目なので、語呂合わせで覚えるのが一番手っ取り早いです。
この語呂合わせのおかげで、実際の試験では法令は満点でした。
甲種を受験する方はぜひこの参考書は使ってみて下さい。
本試験によく出る!甲種危険物テキストがいらないくらい解説が充実した画期的な問題集 改訂第3版 弘文社
この問題集は先ほど紹介したテキストと同じ出版社の問題集です。
テキストにも章末に問題はありますが、それだけだと足りないと思って購入しました。
解説がしっかりしているので、物理及び化学の科目に関しては非常にありがたい問題集です。
そして、問題が難しすぎないので問題を解くことに慣れる意味でもこの問題集は解いて良かったです。
この問題集を4~5月末までで3周しました。
1周目はほとんど解けない問題ばかりでした。
2週目、3周目と問題をこなしていくことで解ける問題も増えていき、解くスピードも速くなっていきました。
2018年~2013年中に出題された649問収録 甲種危険物取扱者試験 2019年版 公論出版
最後も問題集です。こちらは過去問になります。
5年分の過去問題集です。ジャンル別に問題が出題されているので、頻出問題が分かりやすいです。
問題の傾向を掴むにはやはり過去問が一番いいです。
類題が繰り返し出題されるので、解いているうちに自然と暗記ができます。
正直過去問の方が問題の難易度は高いと思います。
そして解説が少し薄い気がします。
なので過去問に取り掛かる前に先に紹介した問題集から解いておくと挫折しなくて済むのではないかと思います。
この過去問は5~7月末までで3周して試験に臨みました。
この過去問を3周して解けるようになっていれば、だいたい合格できるようになっていると思います。
まとめ
危険物取扱者甲種は理系資格の中では実用性も高くメジャーな資格です。
化学系の製造工場やガソリンスタンドでは危険物を多数取り扱っています。
この資格を保有していると、そういったところでは非常に重宝される存在になれると思います。
試験は年に3回行っていますし、全国に試験会場があるので気軽に受験できる資格です。
独学でも合格は出来るので、気になった方は受験をしてみてはどうでしょう。
あるいは、職場から受験するように指示を受けた方はぜひ今回紹介した参考書や問題集を使用してみて下さい。